Y house

●住宅の広さを利用した持続可能な生活
このプロジェクトは中国の北京市昌平区に計画された個人住宅である。敷地は南向きの斜面で後ろに山があり、自然のランドスケープに恵まれた場所である。正確にはこれは新築ではなく改造のプロジェクトであり、施主が購入した古い独立住宅に階数を足して面積が拡大するように改修を行っている。もともとは2階建て延床250平米程度、外壁が白いタイル張りだった住宅を、フラットルーフを足した3階建てとして延床面積を770平米まで拡大している。また建築の外形を単純なC字型に変え、外壁はグレーのブロックにして新たに外断熱を施している。


我々は外壁の改造に当たり、幾つかの層を構成して立面に「奥行」をもたせるようにした。具体的には窓やドアなどの建具の層、断熱材の層、コンクリートブロックの3つの層である。既存の建物の開口部はばらばらにあけられており、それらが1つの立面に並べられる際にそのばらばらな感じが自然に見えるように、このように3つの層を利用して外立面を構成している。
内部構成は1階に公共空間としての居間、2階にプライベート空間としての寝室、3階に余暇空間としての書斎とギャラリーを設け、中心に階段室のコアが設置されている。3階にはもともとの改装前は屋根上だったスペースが室内化され、階段状のギャラリーにしている。壁面はすべて塗装仕上とせずに、一部既存の赤レンガ壁の質感を残した仕上としている。天井もできるだけ処理せず既存の荒々しいコンクリートのテクスチャを残している。
東西に17m幅、南北に16m幅をもつこの住宅は核家族3人が住むには非常に広い。そこで我々はこの 広さを利用した移動型のライフスタイルを提案している。夏は北側の日陰となる居室で窓を開けて、冬は最低限暖房設備を設けた南側の日向となる居室で窓を閉じて主に生活する。快適な生活を維持するために全館に高いレベルの冷暖房空調設備を設けるのではなく、広いスペースの中で季節ごとに異なる快適な場所を「見つけられる」ようにしている。中国のような土地の多い場所で考えられるサスティナブル持続可能な建築提案である。




プロジェクト名:
Y house
設計:
北京松原弘典建築設計諮询有限公司
設計担当:
松原弘典、勝田規央、李志超、中山大二郎
所在地: 中国北京市昌平区
敷地面積: 1200平米
建築面積: 245平米
延床面積: 770平米
構造: コンクリートラーメン構造 (一部壁式)
設計期間: 2007年12月-2008年2月
竣工: 2009年11月
施工: 李啓雲
施主: 個人
撮影: 広松美佐江