BMW_BPI

●最小限要素でつくる動的な表情のある空間

"Design Review Project for BMW 4S Dealership"(4SD) でのコンセプトデザインの成功を受けて、 2011年7月、BMWより北京の新規ディーラー販売店の内外装設計を依頼された。敷地は北京市南五環外にある荒涼としたエリアで、周囲には他にも多数の自動車メーカーがディーラー販売店を計画中であるという。敷地面積12800㎡、建築面積6600㎡、延床面積30,000㎡のうち、顧客の利用するスペース、約5000㎡の内外装設計をBMAが担当することになった。

プロジェクトのテーマは、BMWのメインコンセプトである”Efficient Dynamics”に沿い、最小限の要素で(Efficient)、自動車のもつ原動力(Dynamics)を空間デザインにより表現することである。

メインのファサードである長手方向80mのカーテンウォールには、少しずつ傾きが異なるアルミルーバーを設置している。来訪者が近づくにつれて徐々に表情を変え、雲のようにゆらぎ移ろう仕掛けとすることで、ブランドイメージを表現した。

車道に見立てられた「ドライビングギャラリー」と呼ばれるショールームには、床と天井にそれぞれライン照明を設置し、疾走感を演出している。

ショールームに隣接するブランディングスペースの壁面には、アクリル、鏡面ステンレス、ハーフミラーの三種類のパネルをワイヤーによって固定した。異なる透過,反射性をもつこれらのパネルは、空間を分節すると同時に広告面としても利用することができる。 天井のアルミパネルの間から漏れる光のグリットとあわせて、空間全体に浮遊感をもたせ、ブランドのビジョンを展示するにふさわしい未来を予感させるスペースとした。

顧客が購入した車を受け取るためのカーデリバリースペースは、傾きの異なる鏡面パネルによって取り囲まれている。隣接するブランディングスペース同様、パネルはワイヤーで固定した。斜めに固定された鏡面が空間にダイナミックな表情を与えている。

VIPスペースはブランドカラーであるブルーを基調にしたデザインである。青い照明は、前述のショールームのライン照明と平行に配すことで、 室内空間全体の方向性を強調している。

このプロジェクトのテーマである「最小限の要素で自動車のもつダイナミズムを表現すること」を追求する中で行き当たったのは、「ブランドイメージの枠組みを押し広げ、デザインの可能性を最大限ひきだすこと」という、極めてありきたりではあるが、根本的な課題であった。この問題は、突き詰めれば「秩序を与えながら自由を保つこと」あるいは、「統一性を失わずに多様であること」といえる。建築デザインにおいても、ブランド戦略においても、これは常に避けることのできない共通の課題である。

コンセプト段階からクライアントと長い議論を重ね、目標を明確に共有できたことが、プロジェクトを成功に導いた鍵であった。このBMWディーラーの販売店は、BMWの今後の中国展開の礎となるデザインとして位置づけられている。

 


プロジェクト名:
BMW 4S Dealership Pilot Implementation Project - Beijing
設計:
BMA北京松原弘典建築設計咨詢有限公司
設計担当:
松原弘典、山口一紀、山田哲嗣、包立秋、近藤卓
所在地:北京市大興区西紅門鎮中鼎路19号
延床面積:6616平米
設計時間:2011年7月-11月
竣工:2012年06月
施工:和裕地産公司(建築) / 東寧麗致建筑装飾工程有限公司(内装)
施主:BMW China
撮影:広松美佐江