BMW_SPI

●更新された動的な表情のある空間

"Design Review Project for BMW 4S Dealership"(4SD) "BMW 4S Dealership Pilot Implementation Project - Beijing"(BPI)につづく三つ目のBMWのプロジェクト(工事が実現した内装設計としては二つ目)である。敷地は上海の市街地(CBD地区)より少し北西へいった住宅地にあり、敷地面積8,427㎡、建築面積4,207㎡、延床面積15,078㎡の内、約5,500㎡の内装設計をBMAが担当した。

外壁のルーバーやオフィス部分、ショールームの内装には、基本的に弊社が先の二つのプロジェクトで提案し、現在では中国におけるBMWの販売店の標準設計となったデザインを適用している。一方でそれ以外の部分に関しては、BMWのデザインコンセプトである、"Efficient Dynamics"を、個々の車が最大限表現でき、かつそれを強められるような背景として空間デザインを更新し、新しく設計している。 

例えば、一階受付の背後には、二階の天井にまで達する12mの滝を設置した。そこを流れ落ちる水とその音は、入ってきた顧客に、静的な空間の中にある水という動的な要素の存在を知らせる。この2層吹き抜けの空間に自立する滝は今までなかった要素である。

その滝の背後にあるブランディングスペースでは、孔に方向性のあるエキスパンドのアルミメッシュを天井に用い、その上に高さの異なる照明を星空のように無数に配することで、向きによって見え方の異なる天井とした。また天井と同様に壁にもステンレスメッシュを用い、その上部にBMWのコンセプトカラーである青のライン照明を引くことで、空間全体にクールな印象をもつ展示空間に仕上げている。さらに一番奥には展示車をぐるりと囲うように3面に映像をプロジェクションするための投影面を設置し、BMWの新しいビジョンや先端技術を表現する様々な展示品にふさわしい空間を作り上げた。

また二階のVIPスペースでは、空間の性質上明るさを抑えた落ち着いた照明設計をし、かつ曲面にカットされた縦ルーバーを天井と壁に並べることで、揺らぎを持った雲に包まれたような待合空間にしている。

BMWの店舗に共通して要求される、BMWのコンセプト"Efficient Dynamics"を強める背景としての内装空間。そのデザインは個々の店舗において、標準ルールを守りながら、重要な箇所では毎回少しづつ内装設計に変化をつける挑戦が求められる。上海での本プロジェクトは、メタルメッシュとライン照明を基調としながら、結果として先の北京でのプロジェクト(BPI)とは異なる"背景的空間"を更新できたように思う。

その驚くほどの施工スピードと、また遠隔地からの施工監理の難しさのなかで、我々が既に作り上げた標準設計をどの程度盛り込むべきかという点に腐心した。また施工中の予期していなかった構造の変更や、周辺住民の反対による建築高さの変更など、施工段階で何度も設計修正が必要になった。しかしながらこのような問題は中国では日常茶飯事であり、こうした中国特有の施工段階の問題に抗いながらも、どのように質の保持し、これらに対応するために何が大事で、何をすべきかということを再確認させるプロジェクトであった。

 


プロジェクト名:
BMW 5S Dealership Pilot Implementation Project - Shanghai
設計:
BMA北京松原弘典建築設計咨詢有限公司
設計担当:
松原弘典、山口一紀、山田哲嗣、包立秋
所在地: 上海市浦东新区居家桥路571号
延床面積: 5,500平米
設計時間: 2011年12月-2012年2月
施工時間: 2012年4月-11月
竣工: 2012年12月
施工:
上海天颂建设工程有限公司(建築)/
河南佳灵实业发展有限公司(内装)
施主: BMW China
撮影: Nacasa and Partners(加納英一)